#本
網膜剥離によりボクサーとしての道を絶たれた主人公カンパチ。漫画編集部のアルバイトとして新たな人生を歩むことになるが、元々「あしたのジョー」に憧れてボクサーになるほど純粋に漫画が好きなカンパチにとって、漫画業界は夢からは程遠い伏魔殿だった・・・。
舞台となる時代は漫画の黄金期。かつて一時代を築いた文学を大きく引き離し、漫画が出版社を支える一大産業となった熱い時代だ。
にもかかわらず、すでに「文学を越えて漫画が台頭したが、また漫画もそう遠くない未来何かに越えられていってしまう」といった趣旨の台詞があり、「流行」という水モノをあつかう業界のシビアな無常観を感じた。
いいものが売れるとは限らない、いい人が成功するとは限らない、成功が作家を幸福にするとは限らない・・・残酷な才能と流行の世界で門外漢ゆえに真っ直ぐにぶつかっていけるカンパチに勇気付けられる。
後半ややテーマが漫画から離れがちだったのが残念。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年5月3日
- 読了日 : 2017年5月3日
- 本棚登録日 : 2017年5月3日
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