朝目覚めると一匹の巨大な毒虫にかわっていた。というその書き出しは何度読んでも衝撃を覚える。
グレゴール・ザムザ、いったい彼は何をしたというのか。毒虫に変身させられるというのは何かの天罰なのか。しかし、グレゴール・ザムザは親孝行、妹想い、仕事熱心、家族を金銭的にもしっかり支える、よき青年なのだ。
毒虫の姿のいやらしさ(姿カタチ)の描写はもう読んでいて「ヤメテ」と思うほど。しかし中身は人間なのである。
酷いことだと思う。家族に疎まれ棒でつつかれ、身体にぶつけられたものがめり込み、ほこりとゴミまみれの部屋に一人孤独に這いずる。
かつて家族の輝ける星であった彼は、家族の脅威と成り果てる。
彼の死を見届け、家族たちは未来に希望を見出す。少しも明るくない希望だ。
なぜ毒虫なのか。解らぬまま、つらい気持ちで読了。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2015年11月19日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2015年11月7日
みんなの感想をみる