1月?
「民法のすすめ」という題名ではあったが、内容はとても重厚なものであった。民法を多角的な点からとらえ説明している。私は民法を勉強する機会があったが、それは条文が中心であり、その条文の後ろに脈々と流れていた(だろう)歴史に目を向けることはなかったが、本書を通し、フランス民法典から、民法の理念から説き起こしていった点は興味深かった。構成は、家族法と財産法を中心に、フランス民法典から民法の将来の時間軸をもって説明している。中でも、財産法、家族法における人間像の変化という記述は面白かった。財産法においては、「強く賢い人間像から弱く賢い人間へ」という変化、家族法では、「自由・平等の理念の法律上の徹底」「弱者の保護、教育」ということが指摘されている。そして、将来において民法の変化として考えるものとして、筆者が述べていたのは、財産法においては「市場経済があるかぎり、これを支える法的基礎としての民法は変わりようもない・・・民法典という形式から見ると、その規制する社会領域の縮小と、縮小した部分の特別法による置換ということになる。」とし、家族法においては「婚姻や親子には、最低限の民法的枠組みが必要であり、その範囲内でどこまで多様性・寛容性のある家族法を作るかが、将来の法律家に課された課題となる。」と指摘している。これらの指摘に基づいて今後の民法の変化に注目していきたいと思う。
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カテゴリ:
新書
- 感想投稿日 : 2007年1月16日
- 本棚登録日 : 2007年1月16日
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