審判

著者 :
  • 徳間書店 (2005年4月16日発売)
3.15
  • (1)
  • (6)
  • (23)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 61
感想 : 10
5

 作品解説(帯より):女児誘拐殺人犯として有罪判決を受けた柏木喬――。懲役15年の刑を終えて出所した彼は、意図的に冤罪を被ったと主張するが……。柏木は本当に無実なのか? 彼の狙いは? 意想外の展開、衝撃の真相!

 比較的穏やかに始まる第1部。奴は「被害者?」「加害者?」それともただの「関係者?」一度ならずとも犯人像を捉えたかに思えるのも束の間、巧みなミスリードに翻弄され、遂には作者の意図するところへと思考を誘導されてしまう。こうなると決して犯人へは辿り着くことはかなわず、作者は心の中でしめしめと思いながらニヤついているに違いない。
 第1部とは打って変わって、激しい動きをみせる第2部。幾重にも結ばれた事件の真相が、一つ、また一つとほぐれていく……ように見えるが、気付くとそれはいっそう固く結ばれてしまう。本格&人間派ミステリーの融合は、ラストで全てが氷解する。人は罰によって罪を贖えるのか?
 読了後、深く心を揺さぶる最高傑作。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: イチオシ!
感想投稿日 : 2017年2月1日
読了日 : 2005年6月2日
本棚登録日 : 2017年2月1日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする