【自分のための読書メモ】
貧困アメリカ三部作読了。衝撃の内容。ここで書かれていることがすべて「本当」ならば、という形で判断の留保はいるかもしれない。しかしそれでも、これまでの価値観や、国家への信頼感を十分に揺さぶられる内容。
この3部作で書かれるのは、徹底して海の向こうのアメリカの話。しかしこれが、他人事のように思えない。それは確実に格差が広がり中産階級が破綻したアメリカを一つの成功モデルとして後追いしていると思われる日本の政治状況を考えずにはいられないから。
これは、近未来の日本の話である。
私を怯えさせる事実は以下のこと。
① 国家が国民に対して詐欺行為を働きうるということ。
公共性が高い医療と教育において、知らぬうちに企業の食い物にされているという現実。そして、それに政治が知りながら手を貸しているという事実。
② もはや、アメリカ政府は国民国家という枠組みを維持しようとはしていないということ。(つまり自国民の利益を最善に考えていないということ)
ずっとあったアメリカのイメージは、自国には最も有利な条件を留保しつつ、他国には自国にしないことを平然と押し付けるという、厚顔無恥な不公平な国家のイメージ。しかし、そんなことはなかった。アメリカは実に「公平」な国家であった。アメリカが他国におしつける条件とは、すでに自国民に押し付けた上で、そして中産階級を見殺しにし破壊したうえで、他国にもそれを求めるという一貫性のある姿勢。狂気の沙汰にさえ思われる。
この3部作の完結編では、「1%対99%」というフレーズが繰り返される。上位1%の国境を越えた連帯。
かつて、ヨーロッパは階級社会であり、中世から久しく、貴族が連帯感を抱いたのは自国民ではなく、他国の貴族に対してであったという話を聞いたことがある。今また同じことが起きつつあるように思われる。しかし、今度の新しい連帯は、血筋によって作られるのではない。経済力が結びつける連帯感である。何よりもカネがものをいうのだ。
私にとっての国家像とは、自国民の利益、国益を前提にするというものである。何よりも、国民を守るのが国家である。そしてそうあって欲しいと今痛切に思う。
- 感想投稿日 : 2014年1月12日
- 読了日 : 2014年1月12日
- 本棚登録日 : 2014年1月9日
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