優しい鬼

  • 朝日新聞出版 (2015年10月7日発売)
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本棚登録 : 273
感想 : 29
4

最初の雰囲気から、こうなって行くんだと言う圧巻の作品。ラストに居たり、以前視た「カラーピープル」を思い出した。
この作品、恐ろしいまでに感情を押し殺し、淡々と、事実を突き詰めて行く手法。
残酷なシーンも寓話的に、擬人法を多用しているところが逆に寒気を感じさせる。

選書する際「柴田さんの訳なら最高だ」とチョイスしてよかった。頭に残存する微熱がたまらない。いわゆる「文学」とは大きく異なり、骨組みが無い、ふわふわしていつつ、流れも掴めない。しかしひたひたと何かが起こり、収まって行くという本。

邦題の「優しい鬼」=kind one
よくつけたもんだと舌を巻く。
アノニマスの「人」は本性むき出し・・それが故に無気味で真は冷たい・・んだと。

善き神は私達を見下ろすとき、色なんか見ないと両親は言っていたわ」の言葉がこの作品のコンセプトか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年10月1日
読了日 : 2020年10月1日
本棚登録日 : 2020年9月26日

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