脳の闇 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社 (2023年2月1日発売)
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本棚登録 : 1099
感想 : 85
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 やっぱり好きだな~中野信子さん。いつ読んでも良い。彼女の悩んでいる姿は同性でも色気を感じてしまう。皮肉が小気味良く響く。論調にビリビリと痺れる。私がファンになる人達は色気を伴い私にビリビリと電流を流してくる。その色気と電流に上せファンになるのだ。
 色々な話題がエッセイ的に分散しているので痺れポイントを全ては書けないので絞ると「一番安い物を選ぶタイプ」。「周囲の人に恵まれている時はいいのだが、他人を操作するタイプに出会った時にその標的とされて被害を受けやすい。」…その通り。「自分を粗末に扱うことに慣らされ、搾取されることがあなたの存在意義だと教えられて、そこから逸脱する事を許されて来なかった。」中野氏も若い頃はそんな部分があったとある。早めに気付いて良かった。母親から距離を置き精神的自立に成功している。「自分を粗末に扱わない、という態度は自分をリスクから遠ざけ、自分は大きな価値を持つものだと、自信をもって言う事が出来る。」共感しかない。拠り所と知見が無く感覚の鈍い人達なら家族とは仲良くやっていくべき、という昔ながらの社会から押しつけられた国家運営に都合の良い通念を無条件に信じ、親のことを嫌うなんて可哀想な事だよね、等と言うだろう。自分の心を守ることが一番大事な事なのに、こちら側の事情等を推察するという概念や配慮、想像力も無い。
 「気難しい自分の扱い方」
「相手に合わせるためのやる気を出すことが不可能なのである。」「この相手に合わせることによるメリットはコストに見合わない」…共感しかない。孤独になりたくないだけで合わない誰かと一緒に連むくらいなら進んで孤独を選びたい。ずっと気楽だ。「素焼きの器を障ることが出来ない。そこにある潤いを貪欲に奪っていくという有り様が、どうも気に食わない」この方、図々しくないんですね。そして今まで他者から図々しくされてきた経験があるのでしょう。嫌気が差している。女性は図々しさが出て来ると若くても醜く見える。(美しさに老若男女は関係無いですが)私の周りにも図々しい女性が沢山居る。辟易する。ヘドが出る。自分が醜く見えてることに気づかない。中野氏のいう「いい人仮面」をつけているので自分は「いい人」を演じているんだろうけれど勘が鋭い人はすぐに見抜く。その醜さを。印象も含めて顔。造作が良くても醜く見える。
中野氏が美しく見えるのは彼女の純粋な精神性。顔に出てる。
 中野氏とは凄く気が合いそう。多分お会いする事はないだろう事は残念だが、彼女の知的レベルについて行けるように今後も勉強していきたい。
 アポロンとカッサンドラの引用、格好いいね!
 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年12月3日
読了日 : 2023年9月25日
本棚登録日 : 2023年9月25日

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