作者の名を知ったのは、大学三年生の頃だ。当時私は大学で行われる企業説明会への出席に必要なエントリーシートの作成が間に合わず、懇意にしてくれた教員に泣きついていた。大学入学前にこの本に出会っていたら、あんなことにはならなかったろう。
「読書力=国力」と作者は言う。読書によって培った教養、知性、人格こそが人々を、ひいてはこの国を支える底力になる、と。日本の近代化の先駆けとなった明治維新も、その底力あってのものだった。日本文学がその名にふさわしかった頃の文学書をどっさり読み、また幼い頃から読ませることが必要だ、と。
私が小中学生時代の学校内カーストを耐え抜いてこれたのも、読書のお陰かもしれない。本の作者たちが、登場人物たちが、私を支えてくれたのだろう。
オーディオブックといえば、海王社文庫『痴人の愛』に付属していた岡本信彦さんによる朗読CDを視聴したが、やけに艶めいた声音だった。でも内容に似つかわしい声音だった。残念ながら海王社文庫の本は最寄りの本屋からなくなってしまった。人気声優、人気絵師を起用していたのに。
SNSアプリ『Spoon』で、朗読を配信しようと思う。
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- 感想投稿日 : 2021年2月9日
- 読了日 : 2021年3月9日
- 本棚登録日 : 2021年2月9日
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