理科系の読書術 - インプットからアウトプットまでの28のヒント (中公新書 2480)

著者 :
  • 中央公論新社 (2018年3月20日発売)
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本棚登録 : 915
感想 : 78
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読書の苦手な人にとって、とても知的なイメージのある中公新書を手に取ることはハードルが高いと思う。ところがこの本は、読書が苦手な人向けに、丁寧に構成されている。筆者が教鞭を取る京大の学生だけが対象ではなく(決して優秀な人が対象ではなく)、本を手に取らない世の中の人達全般に向けられた「読書法ガイド」である。

まず、目次がとても分かりやすい。気になる箇所から「つまみ食い」できるように、各章がキャッチーな言葉で並んでいる。
そして、この本は各章の「冒頭」に要約が記されている。まるで新聞の見出しのようだ。章末に要約があるだけでも丁寧だが、冒頭にある本はなかなか無い。つまり、目次を読んで、気になった章のページをめくり、要約を読んでみて、興味が湧いたら次のページに進めば良いのである。読書が苦手な人でも、この本から何か1つでも得られるように、仕組まれている。


さて、この本から受けた自分なりの読書メソッドは、以下の2点である。

①本を「最初から順番に、最後まで慌てて読む」必要は無い
・目次をサラッと見て、気になる部分だけ読めばよい
・ゆっくり読んだ方が頭に入るので、慌てて読むよりも効果が高い
・途中で読むのを辞めて、別の本に手をつけても良い

②本の内容を理解できなくても自信を失うな
・学者が推敲せずに書いた文章は乱雑
・難しい本は、著者が悪い
・読書とは既に知っている9割を確認すること
・未知の分野の本は速読できないし、一読では理解できない

鎌田先生の「地球科学講座」は、今も京大の超人気授業らしい。本題の火山の話よりも、ノートの取り方、読書術や勉強法、お洒落の話まで、良い意味での「脱線」が多いのだろうと、察しがついた。
古本屋で実質200円で購入したが、前半を中心に得るものが多く、鎌田先生の授業を受けているくらいの価値がある。相当コスパの良い投資であった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年7月2日
読了日 : 2022年7月2日
本棚登録日 : 2022年6月16日

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