第三次世界大戦はもう始まっている (文春新書 1367)

  • 文藝春秋 (2022年6月17日発売)
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ロシアのウクライナ侵攻に関するニュースは毎日入ってくるが、フラットな目で見ると、単純に「プーチンの狂気」だけが原因とは言えないことが分かる。勿論、国連決議ではロシアを非難する国の数は多いものの、実はロシアをシンプルに非難する国は、西欧の一部だけにすぎないことに注意を払う必要がある。
特に「アメリカがウクライナ人を盾にロシアと戦争をしている。自国領土から離れた場所で戦争を行うのが常套手段」「戦争ビジネス」という表現には納得できる。
そして、実は「西欧社会が常に理想像であり先進的」という考え方が誤りであることを、面白い指標を用いながら指摘している。過去に共産主義を受け容れた国々の家族構成、宗教、肌の色など、新たな切り口が提示されている。
日本にいると、どうしても「西欧」の立場から見たニュースばかりを目にするもので、そのコメント欄まで読んでしまい、賛同しがちである。実は、世界を広く見渡せば、この戦争を冷ややかに見る国、あえて距離を置いている国など、各国の思惑や立場が微妙に異なっており、第一次世界大戦のときに類似した状況であると筆者は指摘している。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年10月15日
読了日 : 2022年10月15日
本棚登録日 : 2022年10月9日

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