この世からあの世に行く中間地点にある人生写真館。館主は平坂さん
あの世に行く前にそこに立ち寄り、今まで歩んできた人生の写真
の中から歳の数だけ写真を選んで走馬灯を作る
言うならば、人生最後の振り返りの儀式
しかも、その写真の中の1枚の過去に戻って、撮り直すことができる特典付き
私なら今まで生きてきた中のどの一日に戻るだろうと、本を読むのをやめ、思わず駆け足で自分の人生を振り返ってしまった
写真館を訪れた92歳の老婆、刺されたヤクザ、おびえた目をした子ども
三人三様の人生の描き方に著者の優しさ・温かさと願いや祈りが感じられた
特に、第二章「ねずみくんとヒーローの一枚」の結末と
ねずみくんの一言「 直したかった」にホロリとさせられた
写真館を訪れた人にはたくさんの写真があるのに、平坂さんには
たった一枚の写真しかない理由も最後に明かされる
大きな声で叫び、やまびこが返ってくれば、願い事が叶うという丸い石の前で、平坂さんははたと気づく
平凡を絵に描いたような人生の中でずっと探していたなりたかったもの、やりたかったこと、自分のすべきことが何だったかに
それは、館主としては絶対してはいけないこと、人の運命を変えてしまうという禁忌
こんな小さな子どもが写真館に!と悲しさで胸が痛くなったが、大どんでん返しの結末に、大満足。温かい気持ちに包まれた
考え抜かれたストーリー展開で、ラストに大きな感動をもらった
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年10月23日
- 読了日 : 2019年10月23日
- 本棚登録日 : 2019年10月22日
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