大化の改新、白村江の戦い、壬申の乱。そして、天武・天智両天皇が崩御し、持統帝が歴史書をまとめ上げるように命ずるまでの長い物語です。
日本で最初に編纂された歴史書は聖徳太子が編纂した「天皇記」「国記」と言われていますが、実物が残っていません。彼は歴史上敗者であるからです。そして、残っていないものは歴史では存在したことにはなりません。
歴史とは常に勝者のものです。上代と言いながらも、それなりに長い時間にかかれたものが、古事記や日本書紀だけということもないとは思います。(万葉集もですが)
この物語の主人公であるコダマの出生に大きな秘密があり、それが後々大きな苦難として降りかかってくるのですが……。
冒頭ではお話をねだるあどけない幼子。その子がたくさんの物語を、その身に蓄えていく姿が面白かったです。
そうして、彼女がその心打ちにためていったものが古事記になる。おもしろい
実際のところ、古事記の作者である稗田阿礼についての記録はありません。誰かもわからない。
この作品は各章の合間に古事記にある恋物語が様々な人物に語られるという形で挟まれています。
こーいうのは憎いなぁと思いながら、この話は子供の時からすきだったなぁとか、(さすがに子供向けの古事記はかなり小さいころに読んでます、いくつくらいだったろう? おぼえていない)イナバの白兎にこんなに意地悪しなくてもいいじゃないかとか(笑)
その辺りも面白かったです。あー、やはりこの時代は楽しい。
梅原猛さんなどは古事記は持統帝のためにかかれたものではないかということを言われていたようですが、確かに、この物語は女性が読んだ方が楽しいんですよ。日本書紀もすきですが、どちらかを選べと言われれば古事記を取ると思います(苦笑)
それがこうした形で小説になると、私にはとても楽しく、時間を忘れて読みふけってしまいました。
そう、歴史よりもお話のほうが子供のころから好きでしたから♪
- 感想投稿日 : 2020年5月10日
- 読了日 : 2020年5月10日
- 本棚登録日 : 2020年5月5日
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