辺境作家の高野秀行氏と、早大探検部の先輩で小説家の船戸与一氏によるミャンマー珍道中。船戸氏がミャンマーを舞台にした冒険巨編『河畔に標なく』を執筆するにあたり、取材旅行の通訳兼ガイド兼雑用係として、ミャンマーに詳しい高野氏を指名したのが旅のはじまり。
なんとなくミャンマーに住む柳生一族の末裔の話かと、勝手に想像しながら読み始めたが、全く違ってて最初から戸惑ってしまった。高野氏がミャンマーの軍事政権を徳川幕府に、そして取材旅行の監視役であるミャンマー国軍の情報部の人たちを柳生一族に、勝手に例えただけだったのだ。でもこの例えが絶妙で軍事政権と反政府ゲリラ、そしてアウンサン親子との関係を理解するのに、新聞なんかより格段にわかりやすい。
しかし旅程的にはフツーの取材旅行なのだが、高野氏が参加した時点でなぜか面白くなってしまうのは、いつも通りさすが。しかも今回は、同行した柳生一族のポンコツぶりとの相乗効果で、想像以上の面白珍道中だった。それにしてもこの作品と船戸氏の小説、どちらの方が売れたのかね?
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
紀行文
- 感想投稿日 : 2016年10月11日
- 読了日 : 2016年10月11日
- 本棚登録日 : 2016年8月7日
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