私には宮沢賢治の見た世界を見ることができないけれど、藤城さんの目を通して宮沢賢治の世界を想像することができる。この世界を愛おしいと感じている人がつくる影絵は、銀河の果ての瞬きを私のもとにも届けてくれているように思う。
この本を開くと藤城さんの展覧会へ訪れた日のことが思い出される。私はその前日に精神的に落ち込むことがあって、そんな気持ちを引きずったまま作品と向き合った。でも作品を一つ観終わるごとに、私の胸には蝋燭へちいさな灯りがともされるみたいに、色とりどりの光の花が咲いてくるのがわかった。最後の展示室へ足を運ぶころには涙が頬をつたっていた。
《2013.09.30》
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
芸術
- 感想投稿日 : 2015年11月27日
- 読了日 : 2013年9月30日
- 本棚登録日 : 2015年11月27日
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