薄闇がうつつとうつろの線路を跨ぎ、眠りを取り囲む夢の後衛を迎え入れようとするとき、街は数々の神秘を解き放つ。
琥珀の黄昏から電気石の夜へ。
空がふるえ、懐胎する星座からきららかな旋律が生まれて。歳月を越えてきたこだまが一枚の大きな布のようにわたしの上で波うつから。仄白い月はたゆたいつづける揺籃。
まどろむ古代遺跡に魂を置き忘れてしまい、日ごと目覚めていることが困難になってきているわたしたちだから、今夜も一つの約束事、絵空事をたずさえ、それぞれの寝台に横たわる。意識の断層破裂帯に落ちるわたしは廃墟の跡訪う巡礼者。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
フランス
- 感想投稿日 : 2019年3月30日
- 読了日 : 2019年3月30日
- 本棚登録日 : 2019年3月30日
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