再読。水のにおいの揺れるインドの街が闇にゆうらりと沈んでいく頃、宙を歩くような足どりで、僕は僕の影を探す旅に出る。時計の針は進むべき方向を指し示すみたいに時を刻むけれど、僕の足跡をたどる僕は幻惑の夜の谷間を浮遊する。もうずっと以前に忘れてしまった記憶を取り戻しながら、旅の途中、たくさんのものたちと出会う。日常にいるよりも長い時間が僕のなかで引き伸ばされ、うねっているから。
そのうねりというのは、私に心地よい眠りをもたらしてくれる気がする。張りつめた視線が緩み、夢のやわらかな唇が瞼を押しつつむような眠りだ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
イタリア
- 感想投稿日 : 2016年5月2日
- 読了日 : 2016年5月2日
- 本棚登録日 : 2016年5月2日
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