読書には「すぐに効く読書」と「ゆっくり効く読書」の2種類がある。前者は実用書の類、後者は文芸や学術書やノンフィクションなど。人生の土台となる価値観や枠組みが得られるのは「ゆっくり効く読書」からであり本書では著者がこれまで読んできたそれらの本が漫画を含め数多く紹介される。
4章のうちとくに2章で紹介される社会学、脳科学、進化論の本が自分の従来持っていた価値観とは異質で興味を持った。
著者は述べる。
「自分にとって切実な問題、それは自分という存在のコアにあるものだから、決して手放してはいけない」
「幼い頃に感じたような、自分の中にある根源的な問題意識が自分の人生を作っていく」
社会で是とされているものへの疑念、死への恐怖、だるさの原因追求、そういうものが著者にとっての関心だろうか。自分にとっては何だろう? 異常なものへの関心は読書する大きな理由になっているが自分の生理に根ざした興味関心ってあるかな。
攻撃的なところのない淡々とした文章は読んでいて心地いい。
読んでみたい本が増えたのでAmazonのリストに入れた。近年読んだブックガイドとしては荻原魚雷『中年の本棚』と同じくらい充実している。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
読書
- 感想投稿日 : 2023年1月25日
- 読了日 : 2023年1月25日
- 本棚登録日 : 2023年1月25日
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