ダライ・ラマ「死の謎」を説く (角川ソフィア文庫 380)

制作 : ダライ・ラマ 
  • 角川学芸出版 (2008年7月25日発売)
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本棚登録 : 83
感想 : 9
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ダライ・ラマはチベット仏教の正統継承者であり最高権威者です。中国軍から弾圧を受けてインドに拠点を置く亡命政府で活動して既に半世紀を経ている。 89年にその功績を認められ、ノーベル平和賞を受賞しています。 この本はその頃にダライ・ラマにインタビューした内容にインタビューした大谷幸三氏が ところどころに解説を加えたものです。 少し前に、アメリカのオバマ大統領がダライ・ラマと会見していましたが、ちょうど その頃この本を読んでいたので、その影響力の大きさが理解出来ました。
チベット仏教は古代インド仏教の考え方を色濃く受け継いでいるという。つまり輪廻転生、生きとし生けるものはその死後に生まれ変わり、新しい生命を生き継ぐという思想である 死とは何か、生命とは・・ 輪廻転生の法則、カルマの法則、煩悩から解放されるには・・ 愛とは、慈愛、性愛、なぜ愛は憎しみに変わるのか・・ 欲望について、快楽と至福の喜びはどう違うのか・・ 宇宙の法則、時間の概念、そして、知力と感情の融合・・ 人間の頭脳は超能力の住処である・・ 読む毎に味わい深い言葉に出会います。 さすがに、釈迦の時代から74回の輪廻転生を繰り返してダライ・ラマ13世の生まれ変わりと言われるダライ・ラマ14世です。
ここまではっきり述べられると、現在の世の中で起こる数々の出来事の成り立ちが手に取るように分かってくるというものです。 他者の存在を考えない自己愛ばかりが肥大する世界。欲望を煽りたてる数多くの商品・・・世の中の歪が人の心に及ぼす恐ろしさ・・
それでも、人間は修養を積み瞑想することで誰でも真実の愛(慈愛)にたどりつく事が出来ると説いています。 この本のカバーは、そんなダライ・ラマの引き込まれるような笑顔の祈りのスタイルの写真が表紙になっています。 それだけで癒されるでしょう。
(1年以上前に読んで書いた感想ですが、被災地宮城県石巻をつい最近ダライ・ラマが訪れ、犠牲者に祈りを捧げたという報道に救われた人も多かったのではと思いました。この部分付け加えます。)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ダライ・ラマ
感想投稿日 : 2011年11月13日
読了日 : 2010年3月6日
本棚登録日 : 2011年11月13日

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