二十歳のころ 1 1937-1958: 立花ゼミ調べて書く共同製作 (新潮文庫 た 59-2)

  • 新潮社 (2001年12月1日発売)
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本棚登録 : 388
感想 : 47

学生時代、インタビューや雑誌づくりについての授業を履修したことがある。この本はその時の参考図書。
東大立花ゼミ生が著名人から学生自身の両親に至るまで、さまざまな人へ「二十歳のころ」のインタビューをまとめたものだが、インタビュー対象の層の厚さにまず驚く。
読んでいて、いい意味でインタビューであることを感じさせない(その人自身の語りを聞いているような)自然さを感じる章もあれば、いかにも一問一答形式であまり話が弾んでいない章もあり、やはり普段私たちが目にしているプロによるインタビューが、いかに質の高いものなのかを思い知らされる。

事前準備は相当にしているはずだから、ラポールの形成、話を広げる(あるいは深める)、という力は一朝一夕で身につくものではないのかもしれない、とも感じる。

とはいえ全体としては、一人一人の軌跡、思いが伝わる、読み応えのある一冊で、学生時代には何度も繰り返し読んでいた。
個人的に印象に残ったのは脚本家・山田太一さんの
「ある価値観にもとづく効率からはみ出る時間を生きることが大切」という一文。一見無駄に見える時間も力になるのだから、今の価値基準だけで判断してはいけないよ、という警告が心に刻まれた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2011年9月29日
読了日 : 2011年9月29日
本棚登録日 : 2011年9月29日

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