社会学入門: 人間と社会の未来 (岩波新書 新赤版 1009)

著者 :
  • 岩波書店 (2006年4月20日発売)
3.51
  • (54)
  • (113)
  • (170)
  • (21)
  • (7)
本棚登録 : 1605
感想 : 105

読み終わった。大変面白い。
社会という広すぎるかつ当たり前に思いすぎるものを的確に切り取って論理的に記述するの、すごい


序 越境する知
越境は手段であって目的ではない。

〈死とニヒリズムの問題系〉と〈愛とエゴイズムの問題系〉という問題を、論理と実証で、「経験科学的」な方法で追求するというのが筆者の根本的モチベーションである。この点は、私の持つ「哲学的な問題を科学のまな板にのせ、解明し応用する」という根本的モチベーションと類似している。筆者は経験科学的な方法で、私は自然科学・工学的な方法でアプローチしようとしているのが相違点か。
『時間の比較社会学』と『自我の起源』はぜひ読みたいところ。

1 鏡の中の現代社会
時間を使う・費やす・無駄にすると、お金と同じ動詞を使う近代の精神↔時間は「生きる」もの。
この時間を「生きる」という感覚の復興として瞑想・マインドフルネスブームがあるのではと思った。

「現代」から離れた世界の魅力は、目に見えないもの、測定できないもの、言葉では説明できないものが多い。

コラム コモリン岬
感動的なエッセイ。

2〈魔のない世界〉
不思議なものの魅力。色彩の特別性の消失。
様々なことが可能になることは、贅沢だったことが当たり前になって喜びではなくなること。これは仕方ないのではと思った。初めて東京旅行したときの喜びは、既に東京に住んでいる身でまた改めて味わえない。

3夢の時代と虚構の時代
良い分類。日本社会を見るためのメガネを与えてくれる。

家族をわざわざやる、「自然」なものの「脱臭」に向かう
↑わかっていてもこうなってしまうね。

4愛の変容/自我の変容
短歌を読むことに慣れていないので、読み取りの難しい部分があった。

5二千年の黙示録
関係の絶対性という概念、深いな…
イスラームとキリスト教の対立、反転はあったけど構造は変わってない
社会は内部からしか変わらぬ。

6人間と社会の未来
S字曲線の話は興味深い。ただし、グラフをより広く見たりして、批判的に検討する必要はある。
現代人間の5層構造や、広義の産業・情報革命の分析は大変面白い。言語も文字もグーテンベルクも情報革命!!

補 交響圏とルール圏
難解ではあるが、じっくり読むと「わかる!実感を伴って理解できるわこれ!」という主張が多い。
〈交響するコミューン・の・自由な連合〉構想。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会学
感想投稿日 : 2020年12月10日
読了日 : 2020年12月10日
本棚登録日 : 2020年11月29日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする