マンガ評論のための原理論を提示し(ついでにその過程で既存のマンガ評論を厳しく批判し)、マンガ史を概観し、その上で個別の作家についても論じるという、かなりお腹いっぱいになれる一冊。著者自身のマンガ論について触れている章にはやや難しい箇所もあるが、かなり大事なことを言っているので頑張ってついてきてほしい。
元は1986年の本だが、中身は全く陳腐化しておらず、個別に論じている作家のセレクトも良すぎるので、今でも十二分に通用する内容だといえる。個人的には、いしかわじゅん以外は全員読んでみたいと思った。特に、ガキの頃アニメで観た「ぼのぼの」の印象しかなかったいがらしみきおについて知れたのは、大きな収穫だった。
著者は「本書を叩き台に(マンガ評論が発展してくれたらいい、的なことが続く)」などと控え目に述べているが、むしろマンガ評論をたしなむためには避けて通れない一冊だと言っても過言ではないだろう。
590円。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ヒマつぶし系
- 感想投稿日 : 2009年2月26日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2009年2月26日
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