障害をもつ子を産むということ: 19人の体験

制作 : 野辺明子 
  • 中央法規出版 (1999年3月1日発売)
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感想 : 17
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今妊娠9ヶ月で、今のところは健康に育っていると医師から言われているが、自分に障害をもつ子どもが生まれないとはいえないので、図書館で見かけ、出産前に読んだ。

1999年出版の本なので、今の医療技術と結構離れていると思う。最近の医療技術では、3D超音波検査などもあり、発達異常や、奇形などはすぐにわかると思う。10年しか経っていないのにこの進歩はすごいと思う。

この本は、医療を仕事にする人向けに、患者がどのように感じるかをわかってもらうための本だと前書きにあった。19人の両親のお話が載っているのだが、中にはわがまま、モンスターペイシェントではないかと思わざるをえない人もいた。現在は医療が進化したから、以前なら死んでいただろう命も救うことができるようになったが、昔なら、健康に生まれなかった命は、生きられてラッキーな命である。でも、母親たちは、医学が進歩したんだから、救えて当然だろうと考えているひとが多いのでは?医者も看護師も人間で、必死に医学を勉強して、大変な仕事をしている。なのに、母親たちは、彼らを何でも救える、何でもしてくれる、過剰なサービスを求めすぎている気がしてならなかった。

我が子が障害を持って生まれた、という事実を母親は出産直後はナーバスなので、母親以外に先に伝えるという伝統があると本書には書いてあった。しかし、母親たちは口を揃えて知らされないほうが辛いという。そして、知らされてからは、障害児を産んでかわいそうな母親だと腫れ物を触るように扱われるのが辛いという。自分の子どもの状態が心配で時間外に電話で状態を聞いたら看護師に怒られたと訴えている人もいたが、私は病院はコンビニではないのだから、最低限のマナーは守らないといけないと思う。自分がその立場に置かれたことがなく、客観的すぎる考えかもしれないが、医療者側からみたら、困った患者だといわざるをえない。彼らは夜寝る間もなく働いていることも多い。なのに、自分の子どものことだけに必死になりすぎているのではないだろうか。こういった親がモンスターペアレンツになるのが目に見えている。

中にはなるほどという意見もあるが、これはちょっと医療者側に求め過ぎではという内容が多かった。医者は神様ではないということを自覚し、患者側も医療の知識をつける努力はしないといけない時代だと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年3月28日
読了日 : 2012年3月28日
本棚登録日 : 2012年3月28日

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