青木さやかさんの自伝エッセイ。
「母」という題名であるからには、大嫌いな母親との確執から和睦までが描かれているのかと思ったけれど、実際は大事な部分は何ひとつ描かれておらず、肩透かしを食らった気分。
何故そんなにも母親との関係が拗れてしまったのかが全く見えてこないし、どうお互い歩み寄って憎しみを消し去ったのかも曖昧。
上京して売れない時代、売れた時代、結婚、出産、離婚、ガンの闘病、子育て、看取り、どの場面でも、当たり障りの無い、「よく知らないけれど出逢った変わった人達」のことばかりで、身近な人のことになるとしっかりヴェールに包んで、完全に守りに入ってるなと感じてしまう。(勿論、それは生きる上の術というか、周りへの迷惑や先を考えて、それが正解であることは私にも分かるのだけれど)
私自身の母との確執や、抱えている問題の解決の糸口には全くならなかった。
青木さやかさん自身が「娘」を卒業して「母」になったと言う自負みたいなものが、見え隠れしており、よくある「自分が母親になって、はじめて母の事を許せた」みたいな。
結局辿り着く場所はそこですか。
子どもを産めなかった私には、一生分からない領域なのだなと、落胆してしまった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2022年12月16日
- 読了日 : 2022年12月12日
- 本棚登録日 : 2022年12月12日
みんなの感想をみる