何のために「学ぶ」のか:〈中学生からの大学講義〉1 (ちくまプリマー新書)

制作 : 桐光学園  ちくまプリマー新書編集部 
  • 筑摩書房 (2015年1月8日発売)
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そうそうたる大人による執筆。
コンセプトは、中学生向けに大学並みに深いことを伝える、というものだろう。
第1巻は、題名にある通り「学ぶ」がテーマだが、「学ぶ」が鉤括弧で括られているのは人によって「学ぶことの意味」が異なるという含意だと思われる。自分にとって「学ぶ」ということの意味を書くために、執筆陣の文章を参考とするのが良い。

以下、ポイント
外山滋比古 知ること 考えること・・・自分の頭で考えるようになることが重要
・100点満点≠人間のめざすべきこと
・個性=失点部分
・思考力=1/知識量 (反比例の関係)
・頭が悪い=新しいことを考えられない、判断する能力がない
・「忘れる」=困難
・体を動かす+辛い境遇から逃げない=自分の頭で考える
・「経験は最良の教師である。ただし授業料が高い」トーマス・カーライル

前田英樹 独学する心・・・自分の力で学問し、何かを得ること、生み出すことが大事
・二宮金次郎=一種の精神的な伝染>農政家
・心に偉人=強さ=内村鑑三の『代表的日本人』=西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮
・わが身で発見したものは忘れない
・独学は「天の助け」vs 西洋の近代は科学による自然のねじふせ
・科学=あらゆるものを数におきかえ=「物に有用に働きかける」

今福龍太 学問の殻を破る ー 世界に向けて自己を開放する・・・「自分を発見」し「世界と出会う」
・「世界と出会う」=人間のスケールを超えた、ある大きな力との出会い
・アカデミズムの外の学問。ファーブル昆虫記
・わかりやすいことには気をつける
・「わからない」=ポジティブ、おもしろい、未知
・殻はやぶられるためにある

茂木健一郎 脳の上手な使い方・・・「努力の仕方」を知る
・脳には「取説」がない
・「頭がいい」=「努力の仕方を知っている」
・ドーパミンを活用=自分で自分に無理めの課題設定をしてそれを超える  
・ドーパミン=「自分にとっての進歩」があったとき≠誰かと比べて優れていたとき
・情熱=苦労

本川達雄 生物学を学ぶ意味・・・
・世界一のナマコ研究家
・3つのパンが必要・・・体、心、脳
・脳のパン=学問
・職業選択=世の中で大切なこと。嫌いではなく、結構やれるし、社会に役立つ
・物理学と生物学の時間の違い

小林康夫 学ぶことの根拠・・・日々生きている中にあるズレをもとに学ぶ
・すべての(学びの)「種」=世界と自分とのズレ
・世界を変える=エラーする力
・「好き、嫌い」の感覚と距離をおくこと
・全体を見ること
・やり直す力

鷲田清一 「賢くある」こと
・パイオニアになれない時代
・自分にしかできないこと?
・「ここにいるのは私でなくてもいいのではないか」
・「一つの問いに一つの答え」=NG・・・「光は波動であるか粒子であるか」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 生き方論
感想投稿日 : 2021年10月3日
読了日 : 2022年3月3日
本棚登録日 : 2021年9月22日

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