「生理的に無理、受け付けない」というセリフがあります。女性が男性に使う場合が多い気がしますが、同性に対してはどうでしょうか? 職場等で、「この人は理屈に関係なく受け入れられない」ケースはあるかもしれません。
本作は、そんな「生理的に無理」でも、避けられない歪んだ親子・家族の物語と言えると思います。
若手建築家の妻・美沙の視点で語られる義理母は、美沙が妊娠して以降、悪意はないのに「生理的に無理」を通り越し、狂気で身の危険さえ感じます。読み進めると、病的な怖さが際立ち、さらに過去からの負の連鎖が明らかになってきます。
読み手は、不穏・不快を感じながらも、先が気になり仕方ありません。それこそ、こういう物語は「生理的に無理」という読者の方もいらっしゃるでしょうが、こんな展開こそが、人間の醜悪な面を追求する遠田潤子さんの真骨頂で、クセになりハマる方もいるのだろうと思います。
それにしても、余りの濃密さに、読後大きな溜息をつき、(良い意味で)ハンパない疲労度MAX状況となりました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年9月29日
- 読了日 : 2022年9月29日
- 本棚登録日 : 2022年9月29日
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