ナチスドイツの技術兵となった少年と、パリの博物館に勤める父のもとで育った目の見えない少女をラジオがつなぐ。戦時下のフランス、サン・マロで交差する二人、つかの間の邂逅。
マネック夫人の気骨。エティエンヌの愛情。ヴェルナーの迷いと決断に至るまで。ユッタに襲いかかる暴力。父親を待ち続けるマリー。
ずっと気になりつつ、なんとなく、読めずにいたのだが、、読んでよかったとおもう。
アメリカ人である作者がなぜという疑問があったのだが、訳者あとがきに、この物語を書くことになった経緯が書かれている。
フレデリックが、キセキレイを見て、ヴェルナーに話す場面が印象に残っている。
”たいした鳥に見えないだろ。せいぜい五十グラムちょっとの、羽毛と骨の塊だ。でも、あの鳥はアフリカまで飛んで戻ってくる。虫と、ミミズと、欲望に動かされて。”
“千年前。あの鳥は何百万羽もここを通っていった。この場所が庭だったとき、端から端まで果てしないひとつの庭園だったとき”
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2022年8月18日
- 読了日 : 2022年8月18日
- 本棚登録日 : 2021年12月31日
みんなの感想をみる