夜に読んでよかった……。個人的に、昼間に読んでいたらもっと怖かったと思う本でした。日常をすれすれに持ち込んで来るので、また、仕事に影響が出てくる描写もあり、昼間読んでいたら私なんかは、一度手を止めます。怖いから。
オススメしていたサイト主さんが、2周目も読んでらっしゃったので、真似して2周しました。
「あ」っと、引っ掛かったのは、ある意味元凶の後輩さん無傷。の事です。
刑事の菅原さん、主人公の本間さん、探偵の原田さん、リカの闇に呑まれた人は、皆どこかに好意を覚える人だったのに、全く人間らしく好意を覚えなかった登場人物の後輩・坂井さんは、一番危なそうな立ち位置(出会いサイトの常連)でありながら、リカの餌食にはならなかったのがなんだか悔しい。リカちゃん、ここにもう一人いますよ。
他の感想で知ったのですが、ドラマでもあるのですね。
私は演劇で見たい、むしろやってみたい。もちろん、リカをやってみたい。……どのぐらい絞ったらいいのだろう。
主人公が山手線に乗って、一日の時間が溶かされるところや、タクシーを追いかけるリカを、生の舞台で見てみたい。ホラー特有の、『面白い』と『いっそ笑けてしまう』、がないまぜになってくれそうで、絶対楽しそう。
エピローグは、文庫のみの加筆と言う事を紹介されたサイトで知り、どきどきして図書館に向かいました。
文庫でも、単行本でも、あったほうのみ読もうと思っていたので。
今回、図書館に文庫のみ置いてあったので、読む事が出来ました。
手前で終わっても、エピローグを含んでも、怖い。
エピローグは、もしも、自分から全てを奪われたら……と想像できる分――想像できるように、菅原さんの科白で否応無しにリードされます――リカの恐ろしさが増します。簡単には殺されない。愛されているから。
愛も悪意も執着ってガソリンですね。
読み終わったばかりだから、感想が溢れ返る。
リカが美しかった面影を引きずる分、時々せつない。
本間さん、お願いだから直ぐに家族に事情を説明して。
あぁでも、壊したくないから話せないって事を、理解出来ない訳じゃない。ただ、子供が巻き込まれるとヤキモキしてしまう。娘の亜矢ちゃんとの仲の良い描写が、本当に微笑ましく細かい分、そこに気持ちが動き、その上でリカに「キレた」本間さんの行動もよく分かる……、あれ? いまそう打っていて理解したのですが、そうなるように気持ちを誘導される構成でしたね。わぁ、恥ずかしい。見事に道案内をされました。
面白いホラーを知れて、そして読めて良かったです。
- 感想投稿日 : 2021年10月7日
- 読了日 : 2021年10月7日
- 本棚登録日 : 2021年10月3日
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