総評: 「アメリカ式経営」偏重に一石は投じるが、「じゃあ、日本はどうする?」は物足りないかと。
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読んでいる時は「ふむふむ」と納得しながら読めた。
(1) アメリカがイノベーションを生み出し繁栄したのは軍事産業のおかげ
(2)日本の「終身雇用」的な人事制度はイノベーションに必要な
「長期の濃密な人間関係」
を築く上では有効であり、必ずしも時代遅れで廃止しないといけないというようなものではない。
(3)アメリカは株主利益を偏重するがゆえに四半期(超短期)業績主義によってイノベーションの力はむしろ落ちている。
(4)日本の停滞の原因は金融政策の失敗と、(3)のアメリカ型ガバナンスを導入したことによってイノベーションが生まれなくなってしまったからだ
(5)日本は長期目線でイノベーションを生み出す「老舗企業」を増やすことを目指すべきだ
このような感じかと。
確かに、
「アメリカ型の超短期業績主義のガバナンス=イノベーションを生んでいる」
と短絡的に結びつけていたのでそれについては目線を変えることができた。
ただ残念なのは、そうは言っても現状、アメリカや中国の企業がどんどん売り上げを伸ばしていて、日本企業が売り上げを伸ばせていないのは事実なので、それに対して日本がどうしていくのかと言うアイデアがあまりなかったのは残念。
あくまでも
「なんでもアメリカの経営を真似したら日本も良くなるよ」
と言うことじゃないと言う目線を与えてくれた本であると思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
人事
- 感想投稿日 : 2022年1月11日
- 読了日 : 2022年1月1日
- 本棚登録日 : 2022年1月11日
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