愛着障害 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社 (2011年9月16日発売)
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<この本のよい点>
・光文社新書は、本文の紙がツルツルしていていい。
・明朝も美しい。
→印刷屋さん、えらい。


<内容について感想>
「子供をいっぱいハグしてやりましょう。」
 は、まあいい、として。

これで「愛着障害」なるものが存在するように語るのは、オカルトの域と変わらないように思った。
近世までは、乳母や、姉、村の女性たちで育てられる子供は多かったのでは。核家族化した、ごく一時的な現代の家族像を起点で、人格形成総括して語るスタイルは、一面的過ぎるというか、ハチャメチャな様相。そりゃ、母=太陽で、理想的な日照時間を与えてくれればいいだろうけど、躓きの石がほとんどないツルツルなほうがレアなんではないだろうか。工場の品質管理のような徹底ぶりで、暗闇のない工業製品みたいな子供→人間をお望みか?

偉人や有名人の例ばかり出したら、「愛着障害でよかった」とならないか。口あたりのよい有名人の話をいくつも出して、本として一般受け「あー本読んだな~と思わせりゃいい」という風なのは、いい加減過ぎやしないか。
文学者に愛着障害が多い、と、よくありがち偏見から適当なこと書いてあるけど、作家は自分語りが生業なんだから、よく語りがちな人の半生が資料として残りやすいだろう。
釈迦やムハンマドが愛着障害、まで出てくると、漫才でもみているのか、と。
(ばかな私の悪いところは、どんなアホな話も最後まで聞いてしまうところである。アホかな思ったけど、ちがった、あーよかった、と思いたいのだ。こんなにひねくれてなお、まだ世界は善で溢れてると、どこかで信じてるのだ。。)

ごく標準的な一般人にも「愛着障害」例はたくさんあるだろう。
この本を、もう少しセンセーショナルに成り立たせるためには、有名人ではなく、無名のドロップアウトやアウトローの膨大な取材から導かれた例が多数必要だっただろう。

自分や身近な人が抱える問題を、「愛着障害」に原因を委ね、転嫁してみて、リラックスしたい時にはいいのかもしれない。

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感想投稿日 : 2016年6月23日
本棚登録日 : 2016年6月23日

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