なつのひかり

著者 :
  • 集英社 (1995年11月2日発売)
3.14
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本棚登録 : 422
感想 : 51
5

主人公の栞
しおりちゃんには、幸裕という兄がいる。
そう、この幸裕が独特な性格の持ち主で、
この物語は、そんな幸裕の性格で引き寄せられた、
(そこに近づいた方々も独特な持ち主なのだが、、)
人々が混ざり合い、物語が進んで行く。

物語を読んでいると、
浮かんでくる情景が不思議で、錯覚や夢のように感じる。

最初は、隣の少年董平がヤドカリを探しているとこから始まる。

栞ちゃんにはとても大好きな兄、幸裕がいる。
私も兄のことは好きだが、
この兄妹の愛の形は独特。
栞ちゃんは兄のことを強く思い、抱いたりするほど。

そんな幸裕には、妻の遙子さんと娘の陶子がいる。
遙子さんは想像通り、やっぱり美しい方。
本当に江國香織さんの作品に出てくるような女性にお会いしてみたい。
欲を言えば、お友達になってほしいぐらい、、、

それに、そんな幸裕には熟女の愛人、順子さんがいる。

そして、そして、裕幸の妻だと言い、
栞ちゃんの家に居た巣頭のめぐが、、、

まず登場人物同士の関係に、
頭の中は、クエッションマークだらけだ。

それから、その他に陶子のことを連れ去ったことをきっかけに、仲を持ったなつみちゃん
八百屋のおばあさんに、
同じマンションの建物に住んでいるくすくす笑ってばかりいる可愛げのない双子と、
洋一、
あと忘れてはいけないやどかりのナポレオンが出てくる。

物語はなんだか複雑だった
どうゆう風に解釈して良いかわからなかったけど、
ただ、ある夫婦のすれ違いのことを表してるのかなぁと思った。
幸裕はずるいのよ。
遙子さんがいるのに、愛人の順子さんが居て。
でも、ちょっと解決できなかったのが、
順子さんが言ってた、
遙子さんには2人の夫がいると、、、
これって、もしかして、幸裕と裕幸のこと!?
え!今気づいた!

簡単に言えば、幸裕は自分を失っていた、
或いは都合よく、自分を見失ってた。
白黒つけないことに、目を背け、
その間に、裕幸になり、他の女と結婚なんかしちゃって、、、

でも、順子さんは幸裕が順子さんの愛人ではあることに解放されたいことを知っていたからか、
順子さんは余計にことを複雑に、
幸裕を自分の手から逃れられないようにしたのかなぁと思った。

もしかして、陶子ちゃんはあれから笑うようになったんじゃないのかなぁと今思った。

遠回りや時間がかかったり、
いろんな人を巻き込んで大変なことになっても、
二人が落ち着くところへ戻って来られるなら、
いいやぁ〜と思った。

順子さんの鬘ではない姿をとても美しく感じた。

ヤドカリを見たくなる、一緒に過ごしたくなる。
まさかナポレオンがこんなに活躍するなんて思わなかった。
あなたの瞳が一番かわいく、強かったよ。

江國香織さん大好き

ごちゃごちゃした人たちの世界は、
やっぱりごちゃごちゃなのよね。
でも、実はシンプルだったってことに辿り着いたのかなぁ?

もう一度読みたい本

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年9月23日
読了日 : 2020年9月22日
本棚登録日 : 2020年7月8日

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