2016年67冊目。
夏目漱石、芥川龍之介や村上春樹の翻訳を手掛けるハーバード大学名誉教授。
村上春樹のインタビュー集によく出てくる名前なので気になっていた。
村上作品と出会った時の衝撃からその後の追っかけっぷりまで、本当にこの人の作品が好きなのが伝わってくる。
とても面白かったのが、翻訳時の単数・複数の使い分けの話。
村上春樹の『1Q84』の、二つの月がタマルに見えているのか見えていないのかをめぐるシーンで、「今日は月がきれいだ」というセリフを「moon」と訳せば一つしか見えていないことになってしまい、「moons」にすれば二つ見えていることになり、どちらにしても解釈が限定されてしまう。
結局ジェイ・ルービンが使ったのは「moon-viewing」(月見)問いう単語だった。
「翻訳というものは一番強烈な読書方法だと言っても過言ではない。」
「翻訳者はある程度発明家にならなければ、原作のムードやイメージを十分に読者に伝えられない。」
一つひとつの言葉に、物凄い積極性を持って向き合い続ける翻訳者の姿勢にとても感銘を受けた。
夏目漱石や芥川龍之介のように、現存しない作家には解釈を確認しようがないから、本当に大変なことだと思う。
それにしても、初期三部作で出てくるバーの名前が「ジェイズバー」なのは、とても嬉しかっただろうな〜と思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
エッセイ
- 感想投稿日 : 2016年12月28日
- 読了日 : 2016年12月28日
- 本棚登録日 : 2016年12月25日
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