スクランブル (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2000年7月19日発売)
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本棚登録 : 560
感想 : 71
4

好きな作者だったので。

衝撃的な冒頭だった。
高校時代の友人の結婚披露宴に出席したその場で、
過去の殺人の犯人が判るとは。
しかも当然のごとく、作者のミスリードにひっかかって、
犯人は新婦なのか、新郎なのかとハラハラしてした。

中高一貫教育の名門私立女子高「新国女子学院」では、
高校から入学した生徒たちは〈アウター〉と呼ばれていた。
学校で起こった殺人事件に、ほぼアウターの文芸部のメンバーは、
勝手な推理を繰り広げる。

他にも、弁当の盗難、体育祭での毒物混入、生徒の交通事故死と続くが、
この作品の中心は謎解きではない。
少女たちの焦燥と葛藤と傷心のお話。

章タイトルに「スクランブル」「ボイルド」「サニーサイド・アップ」と
卵料理の名前がついていた。
人生は卵の殻を割り続けなければならないと話し合うラストに向けて、
物語の内容になぞられたタイトルだと思い、
その関係性を読み取るべく、もう一度読みたいと思った。

が、読めなかった。
それは自分自身の卵時代を、
ひりひりとした痛みを感じて振り返れないのに似ていた。
まだ割る殻が足りないのだろうか。
いつか、読み返したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コージー
感想投稿日 : 2022年10月2日
読了日 : 2022年9月30日
本棚登録日 : 2022年10月2日

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