⚫︎感想
離婚しそうな、またはシングルの親を持つ設定の2篇。どちらもタイトルにインパクトがあり、同じく大人との距離と自立がテーマだと思った。
「サイドカーに犬」母の家出後、洋子さんという父の愛人と暮らすことになる。母とは全く違うタイプで自由な女性。「猛スピードで母は」は彼氏はできるが長続きせず、そんな母を見ながら育つ少年。
どちらも、スカッとしたカッコいい女性像でありながら、100%そういうわけでもない一面を見て、少年少女は彼らの生活を通しながら、少しずつ少しずつ精神的に大人になる。母に大きな出来事が起こっても、冷静な自分を発見し、驚くという場面が二作ともあった。そこがまた、現実味がある気がした。なんにせよ、日常は否応なしに続いていくから。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
「私、結婚するかもしれないから」「すごいね」。小6の慎は、結婚をほのめかす母をクールに見つめ、母の恋人らしき男ともうまくやっていく。現実に立ち向う母を子どもの皮膚感覚であざやかに描いた芥川賞受賞作に加え、大胆でかっこいい父の愛人・洋子さんと小4の薫の奇妙な夏の日々を爽やかに綴った文學界新人賞受賞作「サイドカーに犬」を収録。子どもの視点がうつしだすあっけらかんとした現実に、読み手までも小学生の日々に引き戻される傑作短篇2篇。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
純文学
- 感想投稿日 : 2024年4月29日
- 読了日 : 2024年4月29日
- 本棚登録日 : 2024年4月29日
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