蹴りたい背中 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社 (2007年4月20日発売)
3.14
  • (18)
  • (43)
  • (57)
  • (40)
  • (8)
本棚登録 : 675
感想 : 64
4

(受け取ったメッセージ)
テーマは「寂しさ」 
一文目「寂しさは、鳴る。」
誰かと繋がることによって、寂しさが紛れるのかと思いきや、自分の何にもなさが際立って、余計に寂しくなったり、自分を嫌いになったりする。若い時にはよくそう感じることがあったことを思い出した。


(あらすじ)
ハツ、にな川は2人ともクラスで浮いている。ハツとにな川はオリちゃんというモデルを通して交流していく。自分より下に見えたにな川に、眼中にない扱いをされ、また、にな川はオリちゃんに夢中であるというアイデンティティとも言えるものがある。同じように浮いているように見えて、その実、もちろんだが中身はちがうのだ。

(感想)
印象的なたとえ、はっきりしない、できない部分に、純文学らしさを感じて好きだった。いつでも自分は自分を見ている。モニターしている。
他者(友達、家族、先生…)=出会う全ての人は
大なり小なり、自分の言葉や態度の一部を吸収して何かを返してくる。
それに対応するのは、やはり自分自身なのである。
若い時は特に他人の目が気になり、歳をとると図々しくなるというが、それは時間を経てだんだん自分を見慣れてくり返しの感情に慣れてくるからなのかもしれない。
そんなことを考えた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年10月13日
読了日 : 2023年8月31日
本棚登録日 : 2023年10月13日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする