柔道ストラテジー

  • NHK出版 (2004年8月27日発売)
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ハーバードビジネススクールのAMPで教鞭を揮う著者による戦略論。柔よく剛を制すという柔道の精神を比喩的に用いて、小さな企業が強力な存在である大企業とどのように競争していくべきかを論じている。たとえば、技術的な優位を持ち差別化と集中を徹底していたとしても、競争相手の出方次第ではその優位も持続することはできない。本書は、競争環境の中で顧客、競争相手、業界に対してどのようなメッセージを発し、自らの存在についてどのように伝達するかという方法論の具体的な提示である。<br /><br />ケースとして具体的にあげられているのは、新興ハイテク企業が業界の巨人であるマイクロソフトとどのように相対し、競争し、時には協力していったかの事例である。パームコンピューターは本来はPCの存在を根底から覆すような可能性を秘めているにも関わらず、自らをPCの付属デバイスであると定義しマイクロソフトの注意を引かないようにし力を蓄えた。子犬戦略である。これとは対照的に、ネットスケープは当初よりマイクロソフトを攻撃し揶揄し、自らマイクロソフトの脅威であるということを積極的に外部に対してアナウンスをした。マイクロソフトの戦略的な課題の最優先事項としてネットスケープナビゲーターへの対策があげられることとなり、豊富な資金力と圧倒的なOSのインストールベースを誇るマイクロソフトに屈することとなる。<br /><br />ほかにも、CNETvsジフデイビス、e-Bay vs Amazon, Yahoo!、リアルネットワークスvsマイクロソフト といった事例は実際のビジネスの現場において示唆に富む。<br /><br />本書のメッセージは、ようやくすると次の二点であろう。<br />1.巨大企業と全面対決を回避する<br />2.相手の資産・長所を弱点とする

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 経営
感想投稿日 : 2009年10月21日
読了日 : 2007年9月25日
本棚登録日 : 2009年10月21日

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