芸能人はなぜ干されるのか?: 芸能界独占禁止法違反

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  • 鹿砦社 (2015年9月24日発売)
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感想 : 8
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本書は、北野誠という、かつてそこそこテレビで見たタレントが芸能界から葬り去られる顛末から始まる。芸能界を牛耳っているとも言われるバーニングの実情をラジオ番組で面白おかしく茶化した事で、謝罪会見に追い込まれ、その後露出は著しく減少し、芸能界から去った話である。

他にも鈴木亜美やセインカミュ、沢尻エリカなどの例が上げられており、理由としてほぼ共通しているのが、所属事務所の待遇に不満を抱き独立や移籍を画策し、そしてそれが阻止されるという流れである。本書は、どちらかというと社会正義的な視点から書かれており、芸能人、タレントと呼ばれる人たちの過酷な労働や事務所による収奪の実態を告発するよう形となっている。華やかな世界に見えて実態は金と権力に支配された魑魅魍魎なドロドロとした世界であることが伺いしれる。

特にいわゆるバーニング系と呼ばれる系列の芸能事務所は、ドンと呼ばれる周防郁夫が裏の世界とのつながりを背景とした支配構造を構築し、楯突けば報復的に様々な嫌がらせや排除活動が展開されることとなる。よしもと興行やジャニーズも、同じように圧倒的な優位な立場を利用した、支配と搾取を行っているという。

確かに、そうした側面は否定できるものではないものの、前述の独立や移籍が成功した例もいくつもあることは本書では取り扱われていない。芸能界が一部の権力者によって支配されているような論調は、一つの側面ではあるものの、すべてを言い表せているわけではないであろう。やはり、競争原理も働いており、芸能事務所はTV局などのメディアとのパワーバランスにおいても圧倒的な地位にあるわけではないであろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年10月8日
読了日 : 2016年1月12日
本棚登録日 : 2018年10月8日

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