日本国の研究 (文春文庫 い 17-8)

著者 :
  • 文藝春秋 (1999年3月10日発売)
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国会議員がすくう永田町、官僚がすくう霞ヶ関、日本国には、永田町と霞ヶ関の他にもう一つ、病理を生み出す町があるという。それが、虎ノ門である。虎ノ門を歩けば、何個もの〇〇法人にぶちあたるという。当書『日本国の研究』は、政治家=永田町、官僚=霞ヶ関の影に隠れて肥大し続けていた借金と利権の温床、行政法人、特殊法人=虎ノ門を告発するノンフィクションである。

右でも左でもない、著者独特の立ち位置から、粘り強く、論理的に、法人の利権の仕組みに迫る。道路公団は、この本が売れたことによって、民営化されたようなものとのこと。著者猪瀬直樹は、小泉元首相と一緒に官僚機構の行政改革、民営化を行った。現在は東京都副知事をやっており、東京メトロの一元化、東京水道の海外進出プロジェクトなどを推進している。

行政改革、民営化、市場競争原理の導入によって、日本に格差社会が進展したと言われるが、肥大化した官僚組織と日本国の借金は残り続けている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2011年2月12日
読了日 : 2011年2月12日
本棚登録日 : 2011年2月12日

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