L.A.ノワール 【CEROレーティング「Z」】 - PS3

  • テイクツー・インタラクティブ・ジャパン
3.18
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感想 : 14

PS3/xbox360ソフト『L.A.ノワール』は、『グランド・セフト・オート』シリーズで知られるロックスターゲームズ社が開発したオープンワールド型の3Dアクションアドベンチャーゲーム。舞台は1947年、第二次世界大戦の陰影を残したロサンゼルス。プレイヤーはロス市警の刑事コール・フェルプスとなって、事件の解決に取り組む。

『グランド・セフト・オート』(以下GTAと省略)、『レッド・デッド・リデンプション』大ファンの私個人としては期待しながら取り組んでみたが、最初はそれほど面白くなかった。最終的にはいつも通りどっぷりとゲーム世界に没入したけれど、アクション要素よりも、探偵ゲームの要素が強い。

グラフィックはリアルでハイレベル。忠実に1947年のロサンゼルスの町並みを再現している。建物や風景に比べて、今までの作品ではぎこちなかった人間キャラの質感も、人間らしく見えるようになった。指の指紋まで入念に描かれたグラフィック群は、動きを止めれば美術作品みたいに見える。

GTAシリーズでは、ギャングとなって警察相手に撃ち合いをやっていたわけだが、今回は刑事役である。GTAなら乱暴な運転をして、歩行者をひくのが当たり前だった。自動車事故の現場に警察官がいれば、通報されて警官と追いかけっこになるが、逃げ切れば大丈夫だったので、当たり前のように人をひいていた。

今回は、捜査中に偶然人をひいてしまったら、わざと捜査失敗に追い込んで、捜査をやり直した。捜査中に自動車で歩行者をひくと、ペナルティーが与えられる。ペナルティーより、プレイヤーキャラが刑事ということが、自制の原因かもしれない。あるいは、震災の影響か。あるいは、ロックスターゲーム社の作品が世界的に売れすぎて、モラル重視になったせいか。

刑事ものだとしても、ロックスターゲームズ社らしく反体制の精神は健在。『L.A.ノワール』というゲームタイトルがあらわしているように、ゲームには「フィルム・ノワール」のオマージュが散りばめられている。警察の腐敗、公権力と企業の癒着、麻薬の横行、ジャズミュージック、猟奇的殺人事件。

(以下ネタバレあり)面白いと思ったのは、自分が過去に検挙した犯人が、真犯人ではなかったと後にわかることだ。物語の途中、誤認逮捕を連続ですることになる(それが捜査ミスではなく、誤認逮捕がゲーム的に正解の選択肢になっているのも悲劇的)。刑事ドラマなら、ましてゲームなら、「物語上正解の選択肢=真犯人の逮捕」という思い込みが打ち砕かれる。複数の容疑者がいて、決定的証拠がないまま、推理に推理を重ねて、真犯人らしき人物を検挙する。犯罪者を決定する責任は重いと感じた。実際の事件も、残された事実だけをたどりながら、手探りで犯人を追うものなのだろう。あやまちは起こり得る。

ネット上のレビューでも、GTAより面白くない、オープンワールド型のゲームと思っていると、縛りがきついので楽しめないという意見が多い。しかし、他の凡百のゲームよりクオリティーが高いことは確か。制作費も高そうだ。ケータイ向けのソーシャルゲームは制作費が安く、すぐに作れるという。『L.A.ノワール』みたいなゲームは、莫大な制作費と人材と時間をかけて制作される、大作映画みたいな作品。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ゲーム
感想投稿日 : 2011年10月24日
読了日 : 2011年10月24日
本棚登録日 : 2011年10月24日

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