必殺技って、ロマンがありますね。
本作は、隠し剣弧影抄(こえいしょう)と隠し剣秋風抄(しゅうふうしょう)の2冊にわたる剣客時代劇短編集です。題名どおり各編の主人公は秘伝の必殺剣を持つ剣客達で、物語はその無双の剣を振るう一瞬のために組み立てられていきます。
ただ、この短編集に登場する剣客は、よくある剣客もののような剣豪であったり、人格者であったりといった、所謂"ヒーロー"ではなく、家の存続や仕事の悩みなどを抱える下級武士、言わばサラリーマン剣士なのです。
恋愛よりも友情よりも家名を存続させることが尊いとされる武士の価値観の中で、俗に迷い、制度に縛られ、仕事に悩む。
しかしそれ故に覚悟を決めた一振りの刃が、より一層の輝きと切れ味を増して、運命を、そして物語を切り開いていくのだと思います。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年7月15日
- 読了日 : 2013年1月15日
- 本棚登録日 : 2013年7月15日
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