愛と狂瀾のメリークリスマス なぜ異教徒の祭典が日本化したのか (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2017年10月18日発売)
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感想 : 17
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「キリスト教徒でもないのにクリスマスを祝う(クリスマスで騒いで楽しむ)のはおかしい!」という意見を耳にすることは多いです。
特に昨今では、恋人のいない人がいわゆる「リア充」をねたんでこのような発言をすることをSNSなどで目にするように思います。
「恋人たちの日」として認知され、さまざまな市場が沸き立つこの「クリスマス」というイベントがどのように日本に受け入れられ、そして今のような形になったのか。
戦国時代のキリスト教伝来から江戸・明治初期のキリスト禁教の時代、日清日露戦争後の「一等国」として西欧文化を消化した時代に、太平洋戦争中の中断、そして講和条約後の騒擾。

当時の新聞記事などをたどりながら「クリスマス」がどのように祝われて(クリスマスを理由にしてどのような騒ぎ方がなされて)いたのかが簡潔にまとめられています。

根本にあるものとして、キリスト教を(その宗教として)受け入れることはできないが、国際情勢のなかでキリスト教を表立って拒絶することはできないから表象の文化(日曜日を休日としたり、教会で結婚式を挙げたり、クリスマスをお祭りとして取り入れたり)のみを受け入れる、という視点はとてもわかりやすく納得のできるものでした。

真正面から取り組む(考える)と、日本の伝統的な風習と反発し、キリスト教を拒絶せざるを得ない、という理由から、「外国人の変わった年末行事」→「年末・新年のひとつの「お祭り」」→「羽目を外して遊んでよい日」→「(大正天皇の命日と重なったことから)大人が遊ぶのではなく子どものためのお祝の日」→「大人がバカ騒ぎする日」→「恋人の日」とその時々の社会を反映しながら位置づけの変わってゆく様子も非常に印象的でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 仕事
感想投稿日 : 2020年12月1日
読了日 : 2020年12月1日
本棚登録日 : 2020年12月1日

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