読んでいない本について堂々と語る方法 (ちくま学芸文庫 ハ 46-1)

  • 筑摩書房 (2016年10月6日発売)
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本棚登録 : 2190
感想 : 170
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想像していたよりも固い本でした。
本を「読んだ」のか、「読んでいない」のか、その線引きはしっかりと分けられるものではないということをはじめとして、「読書」という営みについて、また本について語ること(このブクログに読書記録を残すということそのものも)はどのような作業なのかということについて、いろいろな作品や執筆家の言葉を引用しながら言及されています。

とはいえ、本書を最初から最後まで一言一句逃さずに読み切ることはいささか骨が折れる作業で、私も第一部で挫折し、残りは「飛ばし読み」「流し読み」でした。
けれど、筆者によればこれも立派な「読書」という行為だとのことで、安心して(堂々と?)ブクログに記録を残している次第です。

p27「本を読むことは、本を読まないことと表裏一体である。どんなに熱心な読書家においても、ある本を手に取り、それを開くということは、それとは別の本を手に取らず、開きもしないということと同時的である。読む行為は常に「読まない行為」を裏に隠している」という指摘は面白いと感じましたし、世の中のすべての本を一生のうちに読み切ることは到底できることではありません。その中で、自分が読んだ(あるいは見聞きした)本がどのような立ち位置にある書物なのか、その全体像を把握できるような司書を目指したい、と思うようにはなりましたが、教養・素養を身につけるためにもやはり「読書」をはじめとする情報収集に終わりはなく、遠い道のりを感じています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 仕事
感想投稿日 : 2021年10月21日
読了日 : 2021年10月21日
本棚登録日 : 2021年8月19日

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