アンハッピードッグズ

著者 :
  • 中央公論新社 (1999年10月1日発売)
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本棚登録 : 111
感想 : 25

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なんだろう。壊してしまうとなんとなく安心するの―要するにわたしはまだ、子供なのかしら。ことばや約束事を重ねることで築き上げてきた関係。気鋭が挑む、邪悪な恋愛小説。
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ホテルで働いている岳(ガク)の飼い犬・弁慶の世話係として日本から呼びつけられて、真緒はパリにやってきた。岳と真緒は恋人同士と呼ぶにはつきあいが長すぎるほど幼馴染で腐れ縁である。そんなある日、空港で置き引きに遭って途方に暮れている日本人の新婚旅行カップルを部屋に泊めることになったのだった。それからふた組の男女の関係が微妙に捻じれていくのである。
情熱で結ばれているようにはまったく見えない岳と真緒だが、きっと似た者同士なのだ。ページの裏と表のように、背中合わせになっていなければ成り立たないようなつながり方をしているのではないだろうか。危ういのになぜか安定してもいる一冊だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: か行の作家
感想投稿日 : 2011年2月21日
読了日 : 2011年2月21日
本棚登録日 : 2011年2月21日

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