1月の読書会お題本。
春樹さん翻訳のラブ・ストーリーアンソロジー。
『いろんな種類の、いろんなレベルのラブ・ストーリー。』
私の一番のお気に入りはそりゃそもちろん春樹さん書き下ろし「恋するザムザ」。
だが、春樹さんセレクトの8編もとても素敵。
「愛し合うふたりに代わって」
911以降の兵役の為に離れ離れになった恋人たちの代理結婚をベースにした、高校時代からの友達のような関係を気づいてきた男女の、どちらかといえば男の子の切ないお話し。私的にはこの男の子、ウィリアムがかなり好き。とても感情移入しながら読んだ。
「テレサ」
これ、かなり好き。クールで都会っぽくて、すごく切ない。
14歳で身長190cm体重120キロという巨漢のアンジェロ、がストーカーのようにテレサのあとをつけてしまう。ここが春樹さんのいう、ちょっとしたロードムービーみたいだ。すごく短い話。世相を思う。子どもの貧困とか?
「二人の少年と、一人の少女」
これも好き。根っからの皮肉屋、「最もシニカルな生徒」ギルバートと、レイフとメアリ・アンの良くある青春の3角関係?でもなんだかわけのわからないハードボイルドなラストがとにかく好きだ。レイフがいない間に二人で何度も行った店のいつものジュークBox前の席でいつも聴くのがボブ・ディランってとこが、なんとも初期の春樹さんっぽいところも好き。
「ジャック・ランダ・ホテル」
これは柴田元幸さんのおすすめだとか。
現在からの描き始めで、遡っていく感じがなかなかつかめなくて読み進めるのにてこずるも、だからこそこのしたたかな女のやり方に痛々しくも可愛いと思ってしまい、もう一度読み返す。そして良くできてるわーと膝を打った。
「恋と水素」
これもいい。飛行船での、空中での逢瀬。病みつきになりそうだ。
「恋するザムザ」
春樹さん曰く「変身」後日譚の、ようなもの。
何かから、どうやら人間に変身してしまったザムザくんが鍵師でせむしの女の子に恋する。メリー・ポピンズみたいな女の子の姿がなんとも素敵だのにせむしなの。
- 感想投稿日 : 2019年1月14日
- 読了日 : 2019年1月11日
- 本棚登録日 : 2019年1月14日
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