華氏451度〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 SF フ 16-7)

  • 早川書房 (2014年4月24日発売)
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感想 : 465
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2年ほど前に、イギリス映画「マイブックショップ」をみて以来、絶対に「火星年代記」を読みたいと思っていたのだけど、100分で名著で取り上げられると知り、こちらを先に読んでみた。

すごい本だった。
今流行りのディストピアものであり、
焚書が物語の中心にある。

本が、焼かれてしまうのだ。
昇火士たちの手によって。
本を隠し持つものは、政府によって管理され、家ごと焼かれてしまう。その、昇火士のモンダーグが主役。

家は完全防火処理がされ、本や家具は燃えても家は残るようだ。
しかしその家の壁は、ほとんどがコーティングされ、映像が映し出されるようになっている。モンダーグの妻、ミルドレッドは、この壁の中で行われる家族ドラマに入り込んでいて、眠る事すら忘れている。
その様子は、今の自分を含め、若い世代のインターネット、SNSスマートフォンを肌身離さず持つ、私たちのこの時代のことを言っているようで寒気がする。。

そんな中、仕事帰りに家の前でクラリスという不思議な少女に出会う。本を焼くことを正当化して生きてきたモンダーグにとって、彼女の存在はおどろくべき美しいものに写った。
「私?歳は17で、頭がイカれてるの。」そう言って、クラリスは自然を愛で、壁ではなく、花や草の香と共にあるのだ。
家には廃人と化した妻がベットの中から壁に見入っている…妻も自分も二人が出会った日のことももう忘れているのだ。

クラリスの次には、昇火に出かけた家の老女が彼を揺るがせた。老女は、本と共に自らも燃やされることを選択し、自らマッチをする。。

そんなモンダーグだが、実は彼の周りにはいつも猟犬により監視される対象だったようだ。彼は実は、読みもしない本をつい、手にしてしまう盗癖があった。

モンダーグにとって、ろうそくの火のような優しい光だったクラリスが、ある日いなくなってしまう。
そして、彼の周りはどんどん変わってしまうのだ。

長いこと、彼の記憶にあった老人フェーバーに助けを見いだし、モンダーグはこの世界から逃げ出すのだ。

しかし、戦争が始まり、世界はまた…

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年6月8日
読了日 : 2021年6月8日
本棚登録日 : 2021年6月8日

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