2年ほど前に、イギリス映画「マイブックショップ」をみて以来、絶対に「火星年代記」を読みたいと思っていたのだけど、100分で名著で取り上げられると知り、こちらを先に読んでみた。
すごい本だった。
今流行りのディストピアものであり、
焚書が物語の中心にある。
本が、焼かれてしまうのだ。
昇火士たちの手によって。
本を隠し持つものは、政府によって管理され、家ごと焼かれてしまう。その、昇火士のモンダーグが主役。
家は完全防火処理がされ、本や家具は燃えても家は残るようだ。
しかしその家の壁は、ほとんどがコーティングされ、映像が映し出されるようになっている。モンダーグの妻、ミルドレッドは、この壁の中で行われる家族ドラマに入り込んでいて、眠る事すら忘れている。
その様子は、今の自分を含め、若い世代のインターネット、SNSスマートフォンを肌身離さず持つ、私たちのこの時代のことを言っているようで寒気がする。。
そんな中、仕事帰りに家の前でクラリスという不思議な少女に出会う。本を焼くことを正当化して生きてきたモンダーグにとって、彼女の存在はおどろくべき美しいものに写った。
「私?歳は17で、頭がイカれてるの。」そう言って、クラリスは自然を愛で、壁ではなく、花や草の香と共にあるのだ。
家には廃人と化した妻がベットの中から壁に見入っている…妻も自分も二人が出会った日のことももう忘れているのだ。
クラリスの次には、昇火に出かけた家の老女が彼を揺るがせた。老女は、本と共に自らも燃やされることを選択し、自らマッチをする。。
そんなモンダーグだが、実は彼の周りにはいつも猟犬により監視される対象だったようだ。彼は実は、読みもしない本をつい、手にしてしまう盗癖があった。
モンダーグにとって、ろうそくの火のような優しい光だったクラリスが、ある日いなくなってしまう。
そして、彼の周りはどんどん変わってしまうのだ。
長いこと、彼の記憶にあった老人フェーバーに助けを見いだし、モンダーグはこの世界から逃げ出すのだ。
しかし、戦争が始まり、世界はまた…
- 感想投稿日 : 2021年6月8日
- 読了日 : 2021年6月8日
- 本棚登録日 : 2021年6月8日
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