羊のうた 7 (バーズコミックス)

著者 :
  • 幻冬舎コミックス (2003年2月1日発売)
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本棚登録 : 606
感想 : 34
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実際に読んでみると、電子書籍サイトの「立ち読み」で抱いていたイメージよりもずっと中身はエンタメ寄りで、物語展開もよく練られており、読みやすかった。吸血鬼伝説をサナトリウム的な現代病(精神病)に解釈していたり、というか近親相姦ばりばりだったり……な重苦しいトーンの中で、静謐に、『生きていてはいけない』ものとの戦いを描いていた。精神病の先生が読んだら卒倒しちゃいそうな「間違った」道へと、互いに寄り添いながら気持ちよさそうに堕ちてゆく様子が、衝撃的で、でもどこか共感できるものがあった。
というより、この、たった二人が二人で作り出した悲劇の世界に、溺れ、飲み込まれてゆくような世界観が、もう心地良すぎて……。読んでいるこちらまでカッパ淵に引き摺り込まれるというか……。もっとウツだった頃に読んでたら、あぶなかったな。最終回ひとつ前の見開きページの、戦慄するような美しさは、他には得難いほどの漫画体験だと思う。
ラストは確かに、中途半端かもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マンガ(電子書籍)
感想投稿日 : 2016年9月14日
読了日 : 2016年9月14日
本棚登録日 : 2016年9月14日

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