上巻は、画家のベルナールへ宛てた手紙22通。それに加えて巻頭にベルナールによる献辞が、割と長文で用意されているのだが、これが関門というべきか、きびしい読書。
時代背景の整理としては役立つことは承知、またゴッホとの文通の当事者として重要なのは理解するのだが、この巻頭長文の関所によって過去何人の読者が門前払いを食ったのだろうかと思ってしまう。かくいう私も三度目の挑戦でようやく突破できた。
改版することがあるのであれば、上中下巻の最後に移したらどうだろうか。この献辞を読まなければ、あとに続く手紙の意味が分からない、などということは無いと思われる。あるいはこれ自体、無くてもいいかも。
本文においては、南仏アルルでの独居の日々を読み通すことになる。友人の来訪や手紙の返信を待ちわびる孤独な時間でもあり、また一方では些事に囚われず絵に打ち込む満ち足りた日々でもある。
中巻へ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
教養本・エッセイ
- 感想投稿日 : 2022年1月3日
- 読了日 : 2022年1月3日
- 本棚登録日 : 2021年12月29日
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