自分のもっている"多様性"という言葉の薄っぺらさを目の当たりにさせられ、LGBTQの先にある視座を考えさせられる何とも重々しい物語。
冒頭、児童ポルノで逮捕される容疑者達の記事があり、先に終着点を見せられる系の展開。
中盤くらいまでは何故この主人公達の物語であの結末に辿り着くのか全く結びつかない。
何となく心に陰があるのは見て取れるのだが、それが何なのかは明かされない。
その後明かされる水に性的興奮を覚えるという特殊性癖を持つ者達の悩める人生。
そこからはマジョリティが認める範囲のマイノリティだったり、選べる選択肢があるように見えて選べないマジョリティの辛さだったり、正解がなく、結局どうすべきかに行き着けない問題提起をされ、頭が飽和状態に。
なんとも悲劇的かつ救いがない結末だが"いなくならないから"で繋がれた2人の絆が淡い光なのかなと感じた。
ブクログのブックリストに多くの方が登録していたのと本屋大賞ノミネート作品ということで『桐島、部活やめるってよ』以来の朝井リョウを手に取ったが、なかなかヘビーな読書体験でした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説その他
- 感想投稿日 : 2022年2月19日
- 読了日 : 2022年2月11日
- 本棚登録日 : 2022年2月19日
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