字のない絵本、なのに訳者の名前に柳田邦男さん。
厳密にいうと、3語くらいの会話はあるけれど、それで訳者の名前は。。
『旅する小舟』での岸本さんの役割なのかなと思ったら、訳者あとがきでしっかり編集者からこの本を訳してみませんかと話を持ち掛けられた模様。
そういう意味では柳田さんの意味合いはあとがきにあるのかな。
柳田さんがあとがきを書くことによって重みが増すというか。
確かにこの絵本、初読時はその意外性に目を奪われ、最初の過激なシーンは「実はそういう話でした」というだけのものと読み取ってしまっていたが、あとがきを読んでなるほど~と。
少年が大統領に手紙を書くシーンに始まる。
ポストに投函しに行く途中、爆撃機が頭上を通過し、家を爆破する戦車とすれ違い、大統領のポスターに落書きした男をこん棒片手に犬と追いかける警官とすれ違う。
辿り着いたポストの前には体の大きい目つきの悪い男の子。
被っていた帽子をはたかれるも、少年は毅然とした態度で「やめて!」と。
そうして手紙を投函した帰り道、落書きした男は犬と触れ合い、爆破された家の奥では戦車が畑を耕し、爆撃機はミサイルではなく自転車を少年達にプレゼント。
「やめて!」という毅然としたもの言いによってもたらすであろうアナザーストーリーということだ。
このお話の中では少年が大統領へ抗議の手紙を書き、「やめて!」と叫んでいるが、本来はこれをすべきは戦争を起こしている大人達。
なるほど、子ども達にそんなことさせるのはどうかしている。
- 感想投稿日 : 2023年7月17日
- 読了日 : 2023年6月17日
- 本棚登録日 : 2023年7月17日
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