出世商人(二) (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋 (2020年11月10日発売)
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亡き養父が遺した店〈三川屋〉と体調の悪い養母を守るため、借金返済に励む文吉。
医師・手塚良庵との出会いで彼が調薬した『元気丸』を売ることになった文吉だが、同業者から睨まれ次々嫌がらせを受ける…という第一作。

第二作では更なる嫌がらせを受けている。
『元気丸』は効かない、返って具合が悪くなったという嘘の悪評をばら蒔かれたり、『元気丸』を安く売る偽業者が現れたり、ポスターを破られたり落書きされたり、挙げ句に文吉の偽者が現れ『元気丸』と称して毒を混ぜた丸薬を売って具合を悪くする客が出てきたり。

正直忍耐が続く第二作なのでなかなか読み進まなかった。
大店の薬種問屋たちもこんなにお金と人手を掛けた嫌がらせを続けるくらいなら、自分たちの商売に身を入れれば良いのにと思ったり。

ただ前作同様、下っ引きの宗助や〈遠州屋〉の女中・お邑など助けてくれる人もいる。
中でもホームレスの熊は知恵袋で何かとアドバイスを受けに行っている。
そして冤罪で殺人未遂罪に問われ拷問された文吉を救ったのはお邑と手塚だった。
一方でこの件で幼馴染みのお藤の夫・貞吉の暗い心の内が明らかになる。

今回はお邑の過去にも触れられ、それを知った文吉はお邑に今まで以上の思いを抱く。
表紙絵からてっきり文吉とお邑が…と思ったら、そういう色っぽい話にはならなかった。

最大のピンチは乗り切ったが、まだまだ嫌がらせは続きそうでゲンナリ。第三作はちょっと違う展開を期待したい。

※「出世商人(一)」レビュー
https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/416791574X

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説 ドラマ
感想投稿日 : 2021年9月5日
読了日 : 2021年9月5日
本棚登録日 : 2021年9月5日

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