南アルプス山岳救助隊K-9 逃亡山脈 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店 (2019年5月14日発売)
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感想 : 13
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〈南アルプス山岳救助隊K-9〉シリーズ。

「クリムゾンの疾走」の阿佐ヶ谷署の大柴が再登場。
南アルプス署に勾留中の窃盗被疑者の移送を命じられ、後輩刑事と共に車で移送中、何故か大型トラックに追突される。しかしこれは悪夢の始まりでしかなく…。

『大藪春彦の小説じゃねえんだ』
という大柴のセリフがあるが、私に言わせれば『新宿鮫』かよ!という印象。あっちは桜田商事(あるいは桜井商事?)だったかな。

つい最近、政治の世界で大いに盛り上がったあの問題が取り上げられているが、そこにここまで冒険要素を絡めるとは。
こんなことが、まさか現実にはないだろう…と言い切れないのも政治の世界に不信感が高まっているからか。だが、さすがにこれはやり過ぎかな。そもそもプロの仕事ならもう少し自然に見せるよう、上手くやるだろう。
神崎静奈のクールさと強さが光り、格好良かった。しかも体一つで闘うのだから、大柴でなくとも惚れてしまうだろう。

ただ『山岳救助隊』シリーズというには、今回は静奈がジレンマを抱えるように、何を以て『救助』というのか難しいところ。良い人は助けるが悪い人は助けないのか?
そもそも良い人悪い人とはどこで線引きするのか?
毎回悪役がはっきりしているこのシリーズだが、人間はそこまで白黒はっきりした生き物ではない。

派手な闘いを描いた割にはあっけなく終わったのがちょっと残念。
夏実を始め救助隊グループがあまり出て来なかったのも残念。
しかし大柴との絡みがこれからもあるのか、そちらは少し楽しみ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 警察・刑事
感想投稿日 : 2020年3月3日
読了日 : 2020年3月3日
本棚登録日 : 2020年3月3日

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